無言館

上田市の塩田に「無言館」という、戦時中志半ばでその才能を開花させる事なく散っていった画学生達の美術館があります。コンクリートの打ちっぱなしのモダンな建築の建物で、見逃してしまいそうな場所にひっそりと佇んでいる小さな美術館です。
作品は自画像が多く、肖像画やふるさとの風景画などもありました。戦場の悲惨な作品などはあまり無く、それが逆って哀しく思えます。「何故無言館?」などと考えながらも作品を鑑賞していくうちに、自分の学生時代と、ついオーバーラップして来ました。
私は、学生時代美術部に在籍し、油絵や水彩画を描いていました。画材や部費のスポンサーは親でしたから、特に絵を描く事に思い入れは無く、その後芸術方面の大学に進もうか考えあぐね、高校3年の夏休みには、東京の阿佐ヶ谷美術学校で講習会にも参加させてもらったり。結構恵まれた環境で絵を描く事ができました。(その挙句文系に進学したのですから)そんな自分の絵を描くという事への思い入れはさしてたいした物ではなく、趣味や娯楽程度に納まった訳ですから尚更、彼らの作品への想いとはかなりの温度差があるのです。訴えかけるその想いの熱さが、皮膚感覚でビリビリと伝わってくる感じで、痛いほどの感動を覚え、あまりにも哀しく涙さえ出そうになりました。
無言館」とは、自分の人生(宿命)を受け入れつつも何も言えず、ただその作品にしか想いを表現できなかった彼らの、やるせない叫びを、こころで受け止めるための美術館なのだと思いました。鑑賞している人達も、ひとことも言葉を発する人は居ませんでした。

本日その「無言館」で、俳優の菅原文太さんを迎えて、成人式が行われたとニュースで知りました。
館長さんのご挨拶の中に、成人を迎えた人達に対して、「(時代を超えて)作品を描いた画学生達の皆さんへの贈り物は、真っ白いキャンバスです・・・」とありましたが、画学生達の想いをひとりでも多くの成人達に感じて欲しいと思います。



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2010年04月29日 Posted byさち at 21:10 │Comments(3)随筆

この記事へのコメント
こんばんは☆

さちさん、ブログ開設おめでとうございます♪
mixiと同じ題名だぁ~っと思って飛んできたら、やっぱり。

さちさんの情報量はとっても凄いからみんな喜びますね♪

私もさちさんのブログがどんどんUPされることを楽しみにしています☆
Posted by エル・エリアエル・エリア at 2010年04月29日 22:34
ナガブロデビューしたんだね
さちさんは行動早いから凄いよ。
ここは写真もたくさんアップ出来るから
どんどんアップして見せてね。
Posted by オアシスオアシス at 2010年04月30日 07:33
コメントありがとう。
まだ慣れないから悪戦苦闘だよ。
でも、がんばって色んな事を悲喜こもごも発信していきますね。
どうかお楽しみに!!
Posted by さちさち at 2010年04月30日 08:41
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